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【お細工もの】ちりめんの小さな布に思いを込めて…。

しぼに光を受けて柔らかな表情を綾なす縮緬(ちりめん)―。

ちりめん独特のこのしぼは、左と右に撚りをかけた糸を緯糸(よこいと)に、2種の糸を交互に織り上げていくことで生まれます。

織り上げたその時は平らな一枚の布が、精練(糸の汚れなどを洗い落とす作業)するや、独特の凹凸、しぼが浮き上がる様は息をのむ美しさです。

この巧みな織りの技法が日本に伝えられたのは天正年間(1573~1592)の頃といわれていますが、やがて着物の町、京都では、しぼがもたらす軽い質感と染めの発色の美しさが友禅染の技術と結びつき、織りの産地を丹後に得て、京ならではの着物文化を全国へと発信していきます。

丹念に織られ、染め上げられた一枚の着物は母から娘へ、娘から孫へと、大事に受け継がれていきます。

もちろん女性たちは着物の端切れも 大切に、大切に母から娘へと引き継ぎました。

縫い物は女性のたしなみといわれた時代、母は娘に、そんな端切れを使って、例えば着物と共布の袋物やお人形の着物作りを通してお針の技術だけではなく、物を慈しむ心も伝えてきたのです。

時を経て、そんな無名な女性たちが作り出した “お細工もの” が今、再び注目されています。

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